ビクトール・フランクルという精神科医の考えに大きな影響を受けた著者が、とくに紹介したい言葉をまとめた本です。
22の言葉とありますが、22個に分かれているという印象ではなく、フランクルの生き方を紹介しているような気がします。
僕の考えと大きく違う点が3つあります。
ひとつは、悩みが起きたときには苦しんで苦しんで悩み抜くことが大切だと述べられていることです。
ただどんな悩みに対しても向き合えと言っているわけではなく、真正面から向き合っていかなければいけない悩みもあるということだそうです。
僕の場合は、悩みがあればとにかくそれを悩みと捉えずに自分に対してのシグナルであって、それに対して悩み苦しむのではなく、楽しむようにすることにしています。
起きた問題に対して向き合わないとか逃げるといったことではないので、もしかすると言葉が違っていますが、同じ事を言っているのかも知れません。
次に、過去の出来事だけが変えられないものなので、それを大切にするべきだという考えです。
フランクル自信も心理療法の手法にある過去のトラウマなどを洗い出して解決するということに対しては、否定的なのですが、生きる意味を見出せないというクライアントに対しては、これまでの人生を振り返ってみて楽しかった思い出や、自分が残した結果で満足することは無かったかを問いかけて、過去を肯定的に捉えなおすことで、生きる意味を見出すというやり方です。
残りの人生がわずかしかない人やどうしても現在や未来に希望が持てないという人に対しては有効な手段のような気がします。
僕は、バシャールの考えに影響を受けていて、過去も変えることが出来ると思っているので、この有効な手段を使いづらい立場にいます。
そして最後に著者が一番言いたかったこと。
それは自己実現とか自分がなにを目標に生きるのかといった自分中心の考え方をやめて、導かれるままに生きることが大切だいうことです。
自分中心の考え方はエゴの塊であって、そのエゴが粉々に打ち壊されたときに一条の光がさしてくるのだとあります。
大いなるなにかからの呼びかけに対して応える準備をしておくことが、大切だそうです。
その「大いなるなにか」については、神であるのかも知れませんが、この本では具体的に説明されていなかったように思います。
僕の場合は、「大いなるなにか」とは、自分自身だと考えているので、究極の自己中心主義になります。
しかしこれも1番目と同じように、言葉を変えて同じ事を言っているような気がします。
結局は、エゴを抱えて自分の欲求のままに行動することよりも、なにも考えずに楽しいと感じることに導かれるままに過すのが、一番自分に合った生き方が出来るはずです。
フランクルは、92歳になるまで世界中を飛び回って、生きる意味を発信し続けた人なのですが、彼はユダヤ人ということで、アウシュビッツなどの強制収容所で生死を彷徨う時間を過した経験が、その後の人生においてとても大きな意味を持つようになりました。
その時の経験は「夜と霧」という本にまとめられて大ベストセラーになっています。
僕も早速注文したのですが、その本の中で死ぬ間際になっても自分のパンを分け与える人もいれば、人肉を貪っても生きようとする人もいるという話がありました。
人間は、環境に左右されやすいですが、それを超越する意識を持つことも不可能ではないということが、実体験を通してフランクルの中に生きていたのだと思います。
夜と霧が届くのが待ち遠しいです。
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